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職場で質問しているか?

Harvard Business Review 2018年12月号 に「リーダーのEI(感情的知性)を高める優れた質問力」という論文が掲載されている。

"The Surprising Power of Questions," HBR, May-June 2018.

ハーバード・ビジネス・スクール 助教

Alison Wood Brooks

ハーバード・ビジネス・スクール 准教授

Leslie K. John 

 

この論文では「質問」を仕事の「ツール」として定義している。質問することで学習や意見交換を促し、イノベーションやパフォーマンス向上に拍車をかけ、信頼関係を構築する事ができるという。しかも、思わぬ落とし穴や障害を事前に察知することが可能になる。

 

この質問スキルは生まれつきの能力ではなく、技能として向上させることができるという。

 

質問力がもともと高い人達は好奇心やEI(Emotional Intelligence:感情的知性)、読心術を使って絶妙な質問を繰り返しているが、普通の人は質問の数が少なく、また問いかけ方も最適ではない。しかし、EIは質問を繰り返していくことで磨かれ、その結果として質問力が向上するというサイクルができあがるという。

 

踏み込んだ質問をしない理由について下記のような項目があげられていた。

・自分の話で相手を感心させたい

・相手に無関心で質問するほど興味がない

・自分は既に知っていると過信している

・的外れな質問をしてマヌケだと思われたくない

 

 

私の場合は4番目が当てはまると思う。勉強会や研修に参加した時に「質問はありませんか?」と問われても、ちょっとした疑問であれば「後で調べればいいかな」と思ってキーワードだけメモして終わらせることがある。簡単な疑問であれば質問しても失礼かな、時間もあまりないし、と思ってしまうのである。しかし、逆の立場になると質問されないと「本当に理解しているのかな?」と疑問に思ってしまう。

 

課内会議でもこちらから連絡や質問をするばかりで、なかなか中堅社員からの質問が出てこない。質問してくるのは付き合いが長いメンバーか、もともと好奇心の高いメンバーに限られる。付き合いの長いメンバーについては、私がどのような性格でどのような質問をするのか、どのような発言をしても問題ないかを理解していると思われる。最初の頃はやはり質問はしてこなかった。

 

管理職になって思うのは、担当の頃よりも質問されなくなったということである。皆の心理として、課長にこんな質問して良いものか?とか、こんなことも分からない・しらないのか?と思われたくないという気持ちが働いていると思っている。

 

Google心理的安全性でも謳われているが、発言しやすい雰囲気を創る所から始める必要があると考えている。全員一斉にとはいかないし、飲みにケーションでどうこうできるとは思っていない。日々の業務でメンバーの仕事に興味を持って質問やフォローを続けていくことが必要である。まずは全員の週報に対して質問していくことから始めようと思う。

 

 

(2019.07.08:追記分)

コラム:優れた営業の質問力

トップクラス営業はそうでない営業と比べて商談時に質問回数が多い。
しかし、質問が14回前後に達すると効果が落ちていく傾向にあるという。

トップクラス営業は商談全体に質問を散らす傾向があるため、
尋問のようにならず、会話らしい雰囲気になる。
成績の悪い営業は商談の前半に質問を集中させるため尋問になるという。

トップクラスの営業は相手よりも口数が少なく、相手に耳を傾ける傾向がある。
質問をして、相手に話をさせる方が成績がよい結果となっている。

 
優れた質問者になるには、多く質問をする必要があると書かれてる。しかし、コラムにもあるように、ただ質問数を増やすだけではだめで、質問のタイプ、雰囲気、順序、組み立て方が重要とある。

ブルックスの調査では質問タイプは下記4つに分類されている。
前置きの質問(「お元気ですか」など)
反復質問(「元気です。あなたは元気ですか」など)
方向転換の質問(話題を完全に別の方向に変える質問)
フォローアップの質問(情報をもっと引き出すための質問)

一番効果が高いのは④フォローアップの質問である。これは、相手の話に興味を持っていると伝わり、より情報を引き出す事ができるからである。フォローアップ質問をされる側は、相手に尊重され話を聞いてもらっていると感じる傾向にあるらしい。

 

質問をする場合、事前に選択支を提示するよりも自由回答形式の方が良いく、そうしないと回答範囲が制限されてしまい、イノベーションに繋がるような回答は出てこないとある。しかし、自由回答形式が最善であるとは限らず、緊迫した交渉に臨んでいる場合などは選択型の方が有効とされている。

 

確かに、自由回答で質問をしたところで自分で考えて自分の言葉で意見を述べる事のできる人材は少ないと思う。担当者や入社3年目までの若手社員とディスカッションしていても、刺激を受けるような発言が少ないと感じることが多い。時と場合に加えて、相手の力量によって質問形式を変えた方が良さそうだ。